法人向けIT製品 選び方・比較ガイド
最終更新日:2019/03/08
初回公開日:2018/09/20執筆:柳谷智宣
名刺管理ソフト・アプリ国内トップシェア「Sansan」を徹底レビュー
国内名刺管理サービスでトップシェアを獲得しているのが、Sansan株式会社が提供する「Sansan(サンサン)」です。2007年から一貫してクラウドの名刺管理サービスを提供しており、誰もが知る大手企業を含む7,000社以上に導入されています。2013年からテレビCMをうっており、サービス名を目にした人は多いのではないでしょうか。本記事では、Sansanの導入から活用事例までを徹底的にご紹介します。

それさぁ、早くいってよぉ〜でおなじみの名刺管理サービスSansanの特徴
松重豊さんが「それさぁ、早くいってよぉ〜」と嘆くテレビCMを覚えている人は多いのではないでしょうか。名刺をきちんと管理していない会社でのよくあるすれ違い事例をコミカルに再現したものですが、ビジネスの現場ではよく起きている悩みでもあります。そんな課題を解決してくれるのが、Sansan株式会社の「Sansan」です。クラウドで名刺を管理し、企業の資産に変えることを目指しているサービスです。

Sansan導入に向いている企業、セキュリティ対策
Sansan株式会社は2007年に創業し、現在は国内の名刺管理サービスシェアで5年連続No.1、81%(シードプランニング調べ)を占めています。大手企業から官公庁まで7,000社以上に導入されており、業種は多岐にわたっています。価格はユーザー数カウントではなく、利用する名刺の枚数によって変わります。正確な料金を知るには本記事から資料請求をしてください。
Sansanは、名刺を正確にデータ化して管理するだけでなく、そこからいかにして価値のある情報を引き出すかということを重視しています。そのため、企業全体である程度の名刺枚数を交換している方がメリットを享受しやすいと言えるでしょう。しかし、どうしてもSansanの高度な人脈管理機能を使いたいために、数人の中小企業で導入している事例もあります。Sansan株式会社は、個人向けの名刺アプリ「Eight」や、中小企業向けの「Eight 企業向けプレミアム」も提供しています。単に名刺データを共有したいだけなら、Eightを検討してもよいでしょう。

大事な名刺データを預けるのですから、セキュリティも気になるところです。Sansanでは名刺を人の目で見てデータ化してくれますが、オペレータには名刺全体が表示されることはありません。名字だけとか、メールアドレスの一部分だけに分解されて表示されるので、情報が漏洩する心配がないのです。平成19年にはプライバシーマーク制度のPマークも取得しています。また、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)やセキュリティタスクフォースを組織し、セキュリティと利便性を両立させるために社員研修や内部監査の体制を構築しています。

名刺情報を拡張して営業に役立つSansanの活用メリット
Sansanを活用することによるメリットをSansan株式会社ブランドコミュニケーション部 PRマネージャー 小池亮介氏に伺ってみました。
「我々は、10年以上前からクラウド名刺管理に特化してサービスを提供してきました。名刺をデータ化するだけでなく、そのつながりの情報をデータベース化することにより、名刺交換というビジネスにおける出会いの価値を高めていきたいと考えています」(小池氏)

Sansanの大きなメリットとしては、名刺をスキャンするだけで正確にデータ化してくれる点が挙げられます。OCR機能も備えているのですが、そのバックグラウンドで人力でチェックし、手作業で正確な情報を入力してくれるのです。
スマホアプリも用意されており、外出先からすべての名刺情報にアクセスすることができます。タグをつけて管理して、特定のグループにダイレクトメールをまとめてメール配信することも可能です。昨年のセミナーに来てくれた人たちを今年のセミナーに招待するとか、お世話になっている取引先に送る年賀状のリストを作るのも簡単です。

異動や出世、転職などで名刺が変わった場合は名寄せ機能で人物情報をまとめられます。その人のキャリアがデータベース化されるので、「以前は〇〇社にいらっしゃったんですね」という営業トークが苦もなく取れるようになります。
お互いの企業で多数の名刺を交換している場合、「組織ツリー」も活躍します。相手企業のどんな部門と自社の誰がつながっているのかを可視化できるのです。例えば、キーパーソンにどうやってアクセスしようかと悩んでいたら、別部門の同僚が名刺交換済みなら紹介してもらえるのです。これが、どのくらいのビジネスチャンスになるかは営業の方なら想像に難くないでしょう。
相手企業の情報やニュースを表示したり、営業支援ツールのような案件管理機能も備えています。取引先の情報を検索したり、別途SFAを導入する必要なく、シームレスに営業活動ができるので効率的です。大企業向けには、蓄積データからその人が次に会うべき人の名刺をレコメンドしてくれる機能も用意されています。社内の人脈を余すことなく活用できるので、売上アップへの効果が期待できます。
対応言語は日本語をはじめ、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、インドネシア語の10言語をサポート。グローバルに展開する企業でも、利用できます。

Sansanの導入から活用までの徹底レビュー
実際に、Sansanをセットアップして名刺を取り込み、つながり情報を活用するまでをレビューしてみましょう。まず、Sansanでは、Sansanスキャナを利用するのが基本です。Sansanスキャナには、ドキュメントスキャナとタブレットPC(もしくは2in1PC)、PCスタンドが含まれています。アプリやスキャナの設定は送付段階で完了しており、USBケーブルでつなげばすぐに利用できるのが便利です。
タブレットPCを設置場所のインターネットに接続すれば、登録されているユーザーが表示されます。自分の名前をタップし、「スキャンを開始します」をタップすれば読み取りが始まります。その際、名刺を交換した日を必ず設定してください。この日付も大切な情報のひとつになります。また、タグをつけることもできます。「20180901第4回説明会」のようなタグを付けておけば、後で抽出するのも簡単です。
Sansanスキャナの読み込み速度は速く、1時間あれば1000枚くらいは読み込めます。もちろん、両面印刷されている名刺の裏面のスキャンにも対応しています。




いろいろな条件で名刺を検索する
登録したデータは自動的にSansanのサーバーにアップロードされ、人の手により正確にデータ化されます。Sansanのホーム画面に名刺が一覧表示され、サムネイルをクリックすると画像を拡大表示できます。右側には部署や連絡先、住所などが表示されます。「所有者」というのは、名刺を交換してスキャンした人を指します。
一度データ化できればいろいろな方法で検索できます。覚えている会社名や氏名の一部で調べるだけでなく、役職や住所でも抽出できます。例えば、営業に行く会社で検索して共通の知り合いを頭に入れておいたり、部長職の人だけ絞り込んでセミナーのお誘いを送ったりできるのです。住所で検索し、新規営業がてら既存顧客の顔つなぎに行くということもありでしょう。検索対象は全社対象のほか、自分だけや、自分が所属する部署のように柔軟に絞り込むことも可能です。


人となりやお会いしたシチュエーションなどを「メモ」に残しておいたり、前述のように「タグ」を付けることもでき、もちろんこれらも検索対象にできます。

取引先が大企業の場合は、「組織ツリー」機能も重宝します。社内の名刺情報に加えて、公開されている人事情報を取得し、企業ごとに組織を可視化してくれるのです。自社と取引先の誰と誰が、いつつながったのかがわかるのです。逆に使うと、取引先の第1営業部と第3営業部には製品を導入してもらっているのに、第2営業部に誰もアプローチしていない、といったこともわかります。

交換した名刺の企業に関するニュースを配信してくれるのもポイントです。わざわざ検索しなくても関連企業のニュースが入ってくるので、手間がかかりません。営業のネタに使えますし、ニュースの内容によっては経営判断に役立つかも知れません。

異動や出世、転職した場合は名寄せ機能で名刺を統合する
名刺の情報が意外と頻繁に変わってしまいます。会社の移転や電話番号の変更だけでなく、異動で部署が変わったり、出世して肩書きが変わったりします。もちろん、転職して会社が変わることもあるでしょう。その後、自分はもちろん自社の誰かが、そのような人と名刺を交換してSansanに取り込んだ場合、名寄せすることができます。
氏名に加えてメールアドレスや住所、会社名、URLなどが一致する場合は自動的に名寄せされます。氏名だけが一致する場合は、手動名寄せで同一人物に設定できます。
さらに、同じ相手の名刺を自社の複数の人が交換した場合、同一人物として名寄せすると人物IDがまとまり管理しやすくなります。ただし、この場合はタグやメモはまとまらず、それぞれのユーザーが管理できます。


プレスリリースから営業メールまで対応できるメール配信機能
蓄積した名刺のメールアドレスに一括してメールを配信することができます。顧客リストからメールを配信するサービスは他にもありますが、Sansanであれば標準機能で対応できるのがメリットです。マスコミに向けたプレスリリースを出す回数が増えれば、メディア露出の可能性も高まります。
さらに、「One to One」方式でメールを送信することもできます。通常は、ユーザー企業の特定のメールアドレスから一括送信しますが、「One to One」方式だと名刺を交換したユーザーが送信元になるのです。メールを受け取った人は、名刺を交換した相手から直接メールされたように見えるので、開封率が大幅に向上する効果があります。


SFAとしても利用できる案件管理機能
Sansanでは案件を管理することもできます。案件の進捗や状況を名刺に紐付けて確認でき、営業活動を可視化できます。誰がいつ何をしたのかがわかるので、これまでブラックボックス化してきた失注したときの状況も把握できます。
案件を登録する際は、名刺画像をドラッグ&ドロップするだけでよく、名刺からリマインドやコンタクト(接触履歴)を確認できるので効率的に管理できます。案件の項目は案件マスタで自由に定義できるので、様々な業種で活用できます。

案件管理を使うほどではないものの、名刺の相手と面会したり電話した記録を残しておきたいこともあります。同僚のコンタクトを見てバッティングを回避したり、履歴とその成功率をチェックして戦略を立てる際の参考にするのもありでしょう。そんな時は、「コンタクト」機能を利用します。社外出席者と社内出席者の両方に複数の名刺を設定できるので、会議の記録を残すことも可能です。また、この内容をGoogleカレンダーと連携させることもできます。

CSVインポート・エクスポートに対応しEightからの乗り換えもOK
Sansanは名刺データのインポートやエクスポートが可能です。他のサービスから乗り換えたり、基幹システムに入れて利用するといったことができます。
名刺データのエクスポートは、ダウンロードしたい名刺にチェックを入れて「ダウンロード/転送」から「選択名刺ダウンロード」をクリックします。全項目や基本項目をシンプルに出力するだけでなく、OutlookやGmail、サイボウズOffice 6、筆まめオンラインにインポートするためのテンプレートも用意されています。
CSV化の処理時間は1000件のダウンロードで5分ほどかかります。処理が終わるとメールに通知が届くので、他の作業をしていても構いません。ちなみに、管理者には通知されません。

CSVをインポートして、名刺として登録することもできます。この方法で登録する名刺は課金対象にはなりませんが、名刺画像はインポートできません。また、1回にインポートできる件数は1万行までとなります。
まずは、「管理者設定」の「名刺インポート」から「フォーマットのダウンロード」をクリックしてサンプルファイルをダウンロードします。このファイルにデータを入力し、「ファイルを選択」をクリックしてアップロードしたら、「チェックを開始する」をクリックします。問題なければ「インポート開始」でインポートできます。

Eightから移行する場合は、システム管理者の外部サービス連携画面で「Eight連携」を有効にします。その後、ログイン画面で自分のアカウントでEightにログインし、取り込む名刺を選択します。プライベートの名刺を除外し、ビジネスに関する名刺だけ取り込みたいなら、あらかじめEightでラベルを付けておく必要があります。もちろん、すべての名刺を取り込むのであれば、そのままでも問題ありません。

複数名刺の一括取り込みもOK! スマホアプリとスマホWeb版が用意されている
iOS9.x/10.x/11.xのiPhone 5以降、Android 4.2.0 以上の端末を利用しているなら、スマホアプリを利用できます。一部のAndroid端末ではカメラ機能が正常に利用できないことがあるうえ、タブレット端末でもスマホアプリは利用できません。この場合は、PC版もしくはスマートフォンWeb版を利用しましょう。
アプリでも詳細な検索が行えるうえ、名刺の追加も可能です。しかも、1枚ずつではなく複数枚の一括登録が可能です。とはいえ、認識の精度を確保するためにも、最大4枚までにしておいたほうがよいとのことです。スマホアプリで撮影したデータは、OCR機能により即利用できるようになります。もちろん、誤認識もありますが、これは追って人力で修正されます。名刺をスキャンしてすぐにメールを送りたい場合などに重宝することでしょう。
ちなみに、複数の端末を所有していても、同じアカウントで同時に複数のスマホアプリにログインすることはできません。また、スマホアプリでは案件管理も操作できません。


Sansanに対応した高性能ドキュメントスキャナー
PFUの「ScanSnap iX500」のSansanコラボレーションモデルです。Sansanのスマホアプリとダイレクト接続して、大量の名刺を手軽に取り込むことができます。
SFAやCRM、MAツールと連携させてもっと便利に広がるサービス
Sansanだけでは実現できない運用は、他サービスと連携して実現できます。SansanはOpen APIを用意しており、名刺情報を外部のサービスで利用できます。また、CSV出力も可能なので、ほとんどのサービスにデータの受け渡しが可能です。さらに、プラグインも用意しているので、開発なしに即連携させることもできます。
外部サービスを使ったSFA・CRM・MA連携例
Salesforce

zapier

Sansan for kintone

ユーザー課金ではなく交換する名刺枚数をベースにした料金体系
ライセンス費用の目安
ひとり当たりの年間名刺交換枚数を推定し、従業員規模に掛け合わせ、その企業の年間名刺交換枚数を算出します。その算出枚数に応じて、見積もりを出します。詳しくは本記事から資料請求を行ってください。
無料トライアル版も用意されています。
導入事例:Sansanを導入し働き方が根本的に変わった近畿大学
近畿大学は、1925年に創立され14学部48学科を擁する総合大学です。産学連携といった大学発ベンチャーの先駆けでもあり、クロマグロの完全養殖や、日本一の志願者数など様々な切り口で話題になっているのでご存じの方も多いでしょう。そんな近畿大学ですが、以前は企業の人が来校しても、そのつながりの情報が属人化していて活用できなかったそうです。
Sansanを導入することで、誰と誰がいつどこで会ったのかを把握できるようになります。その情報をあらかじめ確認しておくことで、相手とのコミュニケーションを円滑に進められるようになりました。さらに、上司と部下がそれぞれどんな人と会っているのかをお互いに把握できるようになり、フラットな関係になっていったそうです。業務のスピードも向上し、現在では年間400本ものニュースリリースを発信し、近畿大学のブランディング向上に寄与しているのです。

Sansanは創業12年目ですが一貫してクラウド名刺管理サービスを提供し、進化し続けています。単に名刺をデータ化するだけでなく、そこからどうビジネスに活かすのかを重視しており、企業としても導入効果が大きく見えやすいのが、国内シェアでもダントツの1位を独走し続けている理由でしょう。
その他の導入会社事例
- [総合商社] 住友商事株式会社
- [情報通信・IT] レノボ・ジャパン株式会社
- [運輸・郵便] 日本郵便株式会社
- [金融・保険] 株式会社クレディセゾン
- [宿泊業・飲食サービス] 株式会社あきんどスシロー
- [公的機関] 徳島県
- [医療・福祉] 社会医療法人愛仁会
名刺管理ソフト・アプリSansan 仕様一覧
開発・発売会社 | Sansan株式会社 |
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価格体系(課金タイプ・初期費用、ランニング費用) | 初期費用:要見積り ライセンス費用:要見積り スキャナ費用:月額1万円/台 (ひとり当たりの年間名刺交換枚数を推定し、従業員規模に掛け合わせ、その企業の年間名刺交換枚数を算出します。その算出枚数に応じて、見積りを出します) |
試用版 | あり(無料版) |
利用できるデバイス | PC:Windows 7以上 Internet Exploler 11/Google Chrome 最新版/Microsoft Edge 最新版/Mozilla Firefox 最新版/Mac OS X 以上 Google Chrome 最新版/Safari 最新版 スマートフォン・タブレット:iPad(iOS 9.0以降)、Android(Android 4.2.0以降) |
スキャン方法 | OCR+オペレーターによる手動入力 |
データの保管場所・管理方法 | クラウド |
外国語名刺のスキャン | 日本語/英語/中国語(簡体字・繁体字)/韓国語/ドイツ語/フランス語/スペイン語/ポルトガル語/タイ語/インドネシア語 |
CSVインポート | 〇 |
CSVエクスポート | 〇 |
名寄せ機能 | 〇 |
相手企業の組織ツリー(人脈マップ) | 〇 |
タグ付け(ラベル付け) | 〇 |
相手企業の情報 | 〇 |
一斉メール送信 | 〇 |
アラートメール(お知らせメール) | 〇 |
コンタクト情報の履歴表示(名刺情報と商談情報のひも付け) | 〇 |
スマートフォン、携帯端末による使用 | 〇 |
Salesforceとの連携 | 〇 |
Microsoft Dynamics 365との連携 | 〇 |
Kintoneとの連携 | 〇 |
※APIによって、その他のソフトとの連携が可能になる場合があります。
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Sansan(サンサン)
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